たふブログ

イベント参加報告が主

死ネタ好きなのよ…

またまた妄想垂れ流すね♡
*闇堕ちイアンさん+イアンちゃん×キング
*報われないラスト。つーか死ネタ
*長い。



__お前もあいつみたいになりたいだろう…?


声が、聞こえた。自分のによく似た、それでいて冷たい響きをもった、声。
その声が聞こえた瞬間に、俺は声の主に意識を乗っ取られた。自分の意思で身体を動かすことが出来ない。

それより気になるのがさっき言われた言葉だ。『あいつ』みたいに…?
「すぐにわかるさ」
どうやらあの時の俺のような奴は薄く笑みを浮かべて答えた。
「お前、いや、俺の身近にいる奴さ」
そこでまた、俺の意識は奴の深層部に引きずりこまれた。

俺が意識を取り戻すと見慣れた赤いベストを着た人物が横たわっていた。
「まさか…あの時言った『あいつ』って…」
「やっと気付いたのか。こいつだよ」

俺がキングみたいになりたいだって?そんなこと考えたこともない。キングはキングなのだから、他の奴がなれる訳がない。

「キング…っ!おい…!!」
なんとかして奴の意識を押さえ込み、キングに駆け寄った。数回身体を揺さぶると薄く目を開いて微笑んだ。
「どうした、イアン…?」
いつもの調子で話しかける様子に胸をなで下ろした。その瞬間、また奴が語りかけてきた。
「お前がその気じゃねぇなら…俺が奪っちまってもいいんだぜ…?」

「キング…悪りぃな…でも俺はお前があんな奴なんかに奪われるのを黙って見てらんねぇんだ…それぐらいなら…いっそ…」
俺はキングの首に手をかけた。
「…ははっ。そんな顔してんなよ、イアン。お前がやりたいなら、やればいいじゃねぇか。俺は何だろうと受け入れるぜ?」
いつもの笑顔で言われると、堪えていた涙が一気に溢れてきた。
キングの上に馬乗りになり、もう一度首に手をかける。苦痛に歪む顔が見たくなくて固く目を瞑った。

小さく喘ぐ声が聞こえる。嫌だ。聞きたくない。声が聞こえないように目一杯声の限り叫んで手に力を込めた。

_俺はなんてことをしてしまったんだ。

不意に後悔の念に襲われた。奴の気配はもう既に消え失せていた。
「キング…俺も今…そっちに行くからな……」
震える手でガブリボルバーの銃口をこめかみに当てた。まだ微かに体温の残っている手を握りしめ、引き金を引いた。


__さよなら、優しかった笑顔__